【終活コラム】リビングウィルと成年後見人の連携－終活における意思決定支援の重要性
終活は、自分らしい人生の最終章を設計するための重要な取り組みです。
その中でも、リビングウィル（生前意思表示書）や成年後見人の活用は、判断能力が低下した際や終末期医療を受ける際の意思決定を支える大切な手段です。
リビングウィルを通じて自身の意思を明確に示し、成年後見人を選任して連携を図ることで、最後まで自分の希望を尊重した人生を送ることができます。
本記事では、リビングウィルと成年後見人の役割、具体的な活用方法、そして両者の連携が重要な理由について詳しく解説します。
リビングウィルとは
リビングウィルとは、将来、自分が意思決定できない状況になった場合に備え、事前に医療やケアに関する希望を文書で示すものです。
具体的な内容には以下が含まれます。
- 延命治療の希望（例：人工呼吸器や心肺蘇生の使用の可否）
- 緩和ケアの希望（疼痛緩和のための薬剤や処置）
- 特定の治療方法の拒否（例：胃ろうや透析治療の拒否）
- 尊厳死に関する希望
リビングウィルは、主に医療現場で本人の意思を確認する手段として活用されます。特に終末期医療の現場では、医療従事者や家族がリビングウィルを参照して対応を決定します。
リビングウィルの作成の流れ
- 自分の意思を整理：自分がどのような医療を希望するか、あるいは拒否するかを明確にします。
- 文書の作成：具体的な希望を分かりやすく記載した文書を作成します。
- 家族や成年後見人と共有：作成したリビングウィルは家族や成年後見人と共有し、内容を理解してもらいます。
- 定期的な見直し：医療技術や自分の健康状態の変化に合わせて内容を見直します。
成年後見人とは
成年後見人とは、判断能力が低下した方を支援するために家庭裁判所によって選任される法定代理人です。成年後見制度は、以下の3つの種類に分けられます。
- 後見：判断能力がほとんどない場合に適用。成年後見人が本人の財産管理や身上監護を全般的に行う。
- 保佐：判断能力が著しく不十分な場合に適用。特定の行為についてのみ成年後見人が支援。
- 補助：判断能力が一部不足している場合に適用。本人の同意を得た範囲で支援を行う。
成年後見人の主な役割は以下の通りです。
- 財産管理：本人の財産を適切に管理し、不正利用を防止する。
- 身上監護：医療や介護、生活支援など、本人の生活全般をサポートする。
- 契約の代行：必要な契約を本人に代わって締結する。
リビングウィルと成年後見人の連携の重要性
リビングウィルと成年後見人の連携は、本人の意思を最大限に尊重するための鍵となります。
リビングウィルが医療やケアに関する意思を示す一方で、成年後見人はその意思を実現するための行動を担います。
連携の具体例
- 医療現場での対応：リビングウィルに基づいて、成年後見人が医療従事者と相談し、延命措置や治療内容の決定を行う。
- 施設入所時の手続き：成年後見人が本人に代わって介護施設の契約を締結し、リビングウィルの内容を施設側に伝達。
- 家族との調整：リビングウィルに記載された意思を尊重するために、家族と話し合い、意見を調整する。
連携をスムーズにするためのポイント
1. リビングウィルの内容を具体的にする
リビングウィルには曖昧な表現を避け、具体的な医療処置やケアの内容を明記します。
例えば、「延命治療を拒否する」ではなく、「心肺蘇生や人工呼吸器の装着を望まない」といった詳細な記述が必要です。
2. 成年後見人の適切な選任
成年後見人は、本人の希望を理解し、それを尊重できる人物を選任することが重要です。
家庭裁判所に申し立てを行う際には、リビングウィルの内容を考慮した人選を行いましょう。
3. 情報の共有と話し合い
家族、成年後見人、医療従事者との間でリビングウィルの内容を共有し、具体的な対応について話し合いを行います。これにより、意思の統一が図れます。
法律的な観点と注意点
リビングウィルの法的効力
日本では、リビングウィルは明確な法的効力を持つわけではありません。しかし、医療現場では本人の意思を尊重するための重要な指針として扱われます。
成年後見人の権限と限界
成年後見人は、本人の利益を最優先に行動する義務がありますが、本人のリビングウィルに反する決定を行うことは適切ではありません。リビングウィルを共有し、その内容に沿った支援を行うことが求められます。
まとめ
リビングウィルと成年後見人の連携は、終活における意思決定支援の要となります。
自身の希望を具体的に示すリビングウィルと、意思を実現する成年後見人の役割を明確にすることで、最終段階における医療やケアが本人の希望に沿ったものになります。
適切なリビングウィルの作成、成年後見人の選任、そして家族や専門家との連携を通じて、安心して最期を迎えられる準備を進めましょう。