【デジタル終活】デジタル遺品10のリスク回避法
はじめに|見えない遺品「デジタル」が家族を悩ませる
スマホやパソコンが生活の一部となった今、亡くなったあとに残る“見えない遺品”が問題となっています。それが「デジタル遺品」です。
銀行の通帳や不動産と違い、スマホの中のデータやネット上のサービスは目に見えません。
そのため、残されたご家族が気づかない、あるいはログインできないといったトラブルが増えています。
本記事では、「終活」としてどのようにデジタル遺品を整理しておけばよいかを、10の具体的な方法に分けて、やさしく解説していきます。
これから終活を始めようと考えている方、家族に迷惑をかけたくない方にとって、必ず役立つ内容です。
終活 デジタル遺品とは?意味と具体例をわかりやすく
「デジタル遺品」の定義と広がり
デジタル遺品とは、亡くなった人が生前に使っていたスマートフォン、パソコン、クラウド、SNSなどのデジタル情報全般を指します。
現代では多くの人が、生活の中で何かしらのデジタルサービスを使っており、その分、死後に残る情報も増えています。
どんなものが含まれるのか?
主な例は以下の通りです。
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写真・動画・メモなど端末内のデータ
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LINEやメールなどの通信履歴
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銀行・証券・仮想通貨などの金融サービス
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Amazon・楽天などのネットショッピング履歴
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SNSアカウント(Instagram、Xなど)
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Google DriveやiCloudなどのクラウド保存データ
特に近年は、仮想通貨の取り扱いや有料サービスの自動引き落としが家族にとって大きなトラブルの火種になりやすい傾向にあります。
なぜデジタル遺品が問題になるのか?
家族が困る「5つの理由」
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ログインできない
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パスワードが分からず、スマホやパソコンに入れない
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そもそも存在を知らない
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故人がどんなサービスを使っていたか分からない
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重要な写真や思い出が取り出せない
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家族にとって大切な思い出が眠ったままになる
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金銭的なトラブルが発生する
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毎月の自動引き落としが続き、解約もできない
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SNSアカウントがそのまま放置される
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死後も投稿が続く状態になることも(自動連携など)
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デジタル遺品は、「見えないから問題が起こる」という特徴があります。だからこそ、事前の整理と共有がとても大切なのです。
終活 デジタル遺品10のリスク回避法
ここからは、実際にできる「10のリスク回避法」を、丁寧に解説していきます。
① ログイン情報をリスト化する
【重要度:★★★★★】
まず最も大切なのが、ログイン情報の整理です。
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サービス名(例:楽天、Amazon、Xなど)
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ログインID(メールアドレスやユーザー名)
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パスワード
これらをノートに手書きでまとめておくことをおすすめします。デジタルではなく紙にすることで、パスワード管理アプリが消えてしまうなどのトラブルも防げます。
ノートは信頼できる家族や弁護士に預ける、または金庫に保管しましょう。
② パスワード管理ツールを活用する
【重要度:★★★★☆】
アプリを使いたい方には「パスワード管理アプリ」も便利です。
おすすめ例:
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1Password(ワンパスワード)
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Bitwarden(ビットウォーデン)
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KeePass(キーパス)※無料で使える
これらに情報をまとめておけば、1つのマスターパスワードを知っているだけで、すべてのID・パスワードにアクセス可能になります。
※注意点:マスターパスワードだけは、紙に残しておきましょう。
③ メイン端末を決めておく
【重要度:★★★☆☆】
スマホとパソコンを何台も使っている人は、「このスマホがすべての中心です」と家族に伝えておくことが大事です。
また、使用していない古い端末は初期化して処分しましょう。不要な機器が多いと、それだけで混乱のもとになります。
④ 有料サービスの整理をする
【重要度:★★★★★】
月額制のアプリやサービス、意外と使っていないのに課金していることはありませんか?
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動画配信サービス(Netflixなど)
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音楽アプリ(Spotify、Apple Music)
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サーバー契約(ブログ運営など)
こうしたものは、解約するか、整理してメモしておくことが大切です。遺族が「何にいくら払っていたのか」分からず困る原因になります。
⑤ クラウドデータの確認と共有
【重要度:★★★☆☆】
Google Drive、iCloud、Dropboxなど、データをクラウドに保存している方も多いはず。特に写真やPDF書類などは、必要なものだけ残して、いらないものは削除しておくと家族の負担が減ります。
残したい思い出写真や書類は、家族と共有フォルダに入れておくとより安心です。
⑥ SNSアカウントの整理・引き継ぎ
【重要度:★★★★☆】
死後のSNSアカウント処理も忘れてはいけません。
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Facebook:追悼アカウントの指定が可能
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Instagram:亡くなった人の削除申請ができる
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X(旧Twitter):削除申請のフォームあり
使用していないアカウントは早めに削除し、使っているものは削除依頼の方法を家族に伝えておくことが理想です。
⑦ 遺言書にデジタル遺品の記載を加える
【重要度:★★★★★】
一般的な遺言書には不動産や預金などを書きますが、そこに**「デジタル遺品の取り扱い」も記載**することで、法的にも安心です。
例:
「Googleアカウントは長男に、パソコン内の写真は娘に引き継ぐ」など。
法的効力を持たせるには、公正証書遺言を作成するとよいでしょう。
⑧ スマホやパソコンのロック解除方法を残す
【重要度:★★★★☆】
いくらログイン情報を記録していても、端末がロック解除できなければ始まりません。
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スマホの暗証番号(PIN)
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パターンロックの図
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顔認証の解除方法
これらも書き残し、保管しておくことを忘れずに。
⑨ 不要なデータは定期的に削除する
【重要度:★★★☆☆】
終活は「残すこと」だけでなく、「減らすこと」も大事です。
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古いメモや写真
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何年も前のメール
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ダウンロードしたPDFやアプリ
こうしたものを少しずつ整理することで、本当に必要な情報だけを残すことができます。
⑩ 家族と一緒に確認・共有する
【重要度:★★★★★】
どれだけ準備していても、家族がそれを知らなければ意味がありません。**「何をどこに記録しているか」**を一緒に確認しておくことで、迷いのない終活になります。
「デジタル遺品ノート」を作り、家族と一緒に書き込む時間を持つのもおすすめです。
まとめ|デジタルの整理は、思いやりのカタチ
終活は「財産」や「お墓」の準備だけではありません。スマホやネットの中にも、あなたの大切な財産や思い出がたくさん詰まっているのです。
今から少しずつでもいいので、「見えない遺品」の整理を始めてみませんか?
それは、家族への最後の贈り物になるかもしれません。