【介護・施設選び】終活に在宅介護を選ぶ6つの理由|家族と絆を深める暮らし方
「どこで、誰と」人生の最期を迎えたいか
人生の終わりをどのように過ごすか――それは多くの人にとって大きなテーマです。
終活という言葉が広まり、エンディングノートや遺言書の準備だけでなく、「どこで」「誰と」「どう生きるか」という生き方そのものにも目が向けられるようになっています。
その中でも近年注目を集めているのが「在宅介護」という選択肢です。介護施設や病院ではなく、自分の家で最期まで過ごすことができる在宅介護は、本人の心の安定だけでなく、家族との絆を深めるきっかけにもなります。
この記事では、終活の中で「在宅介護」を選ぶ6つのメリットを、最新の制度や現場の実情も交えて丁寧に解説します。
終活と在宅介護のつながり
終活は、亡くなった後のことだけでなく、余生をどう過ごすかを考えることから始まります。
健康寿命を過ぎたあと、どこで介護を受け、どう最期を迎えるかという選択は、本人の尊厳と密接に関わる重要なテーマです。
在宅介護とは、介護が必要になっても住み慣れた自宅で生活しながら、訪問介護や訪問看護、デイサービスなどの介護サービスを受ける方法を指します。
厚生労働省も、医療・介護連携の強化によって「地域包括ケアシステム」の推進を図っており、在宅介護が現実的な選択肢となるよう社会全体で支援体制が整えられつつあります。
終活において在宅介護を選ぶことで、「自分らしい最期」を実現できる環境が整い、本人だけでなく家族の心にも温かい記憶を残せるのです。
メリット① 住み慣れた家で安心して過ごせる
高齢になると、新しい環境への適応が難しくなり、精神的にも不安定になりやすくなります。
そんな中、住み慣れた自宅で過ごせることは、何よりも安心感につながります。
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長年生活した空間は心身ともに落ち着ける場所
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自分の生活リズムや好みを維持しやすい
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認知症の進行を遅らせる可能性も
たとえば、トイレの場所が分かっている、お気に入りの椅子がある、庭の花を毎朝見るといった日常の積み重ねが、本人の精神を安定させ、生活の質(QOL)を高めます。
一方、施設に入所すると、集団生活のルールや慣れない人間関係、時間割に合わせた生活にストレスを感じる方も少なくありません。
その点、自宅では、自分のペースで自然に暮らすことができるのが大きな魅力です。
メリット② 家族と自然な形で時間を過ごせる
在宅介護のもうひとつの大きな利点は、家族と共に過ごす時間が増えることです。
入所型の施設では、家族の面会にも制限がある場合がありますが、自宅なら日常的に顔を合わせることができます。
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朝食時に会話を楽しむ
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子どもや孫と自然にふれあう
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家族で看取りを行うという選択も可能
これは単なる時間の共有ではありません。「一緒にいる」ことで感じるつながりや信頼が、本人にとって何よりの精神的な支えとなります。
特に終末期には、家族の存在が心の支えとなり、穏やかに旅立てたと感じられる大切な時間になります。
家族にとっても、「何もしてあげられなかった」という後悔を残さず、「一緒にいられて良かった」と思える時間になります。
メリット③ 介護にかかる費用を抑えられる
介護施設への入所は、初期費用や月額料金などが高額になる場合があります。
施設によっては入居一時金だけで数百万円かかるところもあります。
一方で在宅介護では、自宅という既存の住居を利用するため、住まいにかかる費用は追加されません。
また、介護保険制度を活用することで以下のような支援が受けられます。
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デイサービスや訪問介護など、必要な分だけの利用が可能
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所得に応じて自己負担1〜3割で済む
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バリアフリー改修や福祉用具貸与にも補助がある
経済的な余裕が限られている家庭でも、賢く制度を使えば費用を抑えた介護が可能です。
費用が抑えられる分、心理的な負担も軽減され、家族の介護継続意欲にもつながります。
メリット④ サービスを自由に組み合わせできる
在宅介護では、ケアマネジャーの支援のもと、介護サービスを本人と家族の状況に合わせて柔軟に組み合わせることができます。
これは介護保険制度の大きな利点でもあります。
たとえば、
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平日はデイサービスに通所し、夜間は家族が介護
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介護者の休息が必要な時はショートステイを活用
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訪問リハビリで自立支援にも取り組める
このように、本人の状態や家族の都合に応じて、生活スタイルを崩さずに介護を続けられるのが在宅介護の強みです。
生活のリズムを維持しながら、柔軟に介護を行えることで、ストレスの少ない介護体制を構築できます。
メリット⑤ 本人の希望が反映されやすい
人生の終わりをどのように迎えたいか――これは一人ひとりにとって異なる答えを持つ大切なテーマです。
施設では時間やルールが決められており、希望が通りづらい場面もありますが、在宅介護では、本人の希望を優先しやすい環境が整っています。
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食事時間やメニューを柔軟に決められる
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起床・就寝時間も自由に設定できる
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音楽を聴いたりテレビを観たりする時間も本人次第
また、エンディングノートを活用すれば、「延命治療は希望しない」「家族と過ごしたい」「自然に任せたい」などの想いをあらかじめ共有でき、最期の選択に家族が迷わず対応できます。
メリット⑥ 医療との連携で最期まで安心
「在宅だと医療面が不安」という声もありますが、今では医師や看護師が自宅を訪問する「在宅医療」が広く普及しています。
厚生労働省によると、訪問診療の利用者数は年々増加しており、多くの方が自宅で医療を受けています。
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訪問診療・訪問看護による定期的な健康管理
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緊急時の対応(24時間体制の医療機関も増加)
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痛みの緩和や終末期ケアも在宅で可能
本人は「病院に連れていかれる不安」から解放され、家族も「すぐに相談できる安心感」を得られます。
ターミナルケアや緩和ケアにも対応できる医師のネットワークも整っており、自宅でも安心して最期を迎えられる時代になっています。
終活における在宅介護という選択肢
終活の中心に「在宅介護」を据えることで、単なる「介護の手段」ではなく、「自分らしい生き方・最期の迎え方」としての意味を持つようになります。
以下のような人に向いています。
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知らない場所で過ごすのが不安な方
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家族に囲まれて暮らしたい方
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自分の生活リズムを崩したくない方
在宅介護は準備が必要な方法ですが、ケアマネジャーや地域包括支援センターなど専門機関のサポートを受けながら進めることで、無理なく導入することが可能です。
まとめ|家族との時間が、心を支える介護へ
在宅介護には、「家で安心して過ごせる」「家族との時間を共有できる」「費用負担が軽い」など、終活にふさわしいメリットが多数あります。
そして何より、自分の意思を尊重しながら、家族と心を通わせる時間を築くことができます。
これからの終活は、「どう死ぬか」ではなく、「どう生きるか」を大切にするもの。
在宅介護という選択肢は、その新しい価値観にぴったりと寄り添っています。