【介護・施設選び】終活における介護保険の使い方|自宅介護と介護施設の選び方
人生の終わりを迎える準備「終活」。その中でも見落とされがちなのが、「介護」に関することです。
もし将来、介護が必要になったとき、どんな場所で、どんな支援を受けるのかを決めておくことは、自分自身だけでなく家族の負担を減らすためにも重要です。
この記事では、介護保険の基本から、自宅で介護を受ける方法、施設を利用する際のポイントまで、終活の観点からわかりやすく解説します。
終活で知っておきたい介護保険の基本
介護保険とは、介護が必要になったときに、公的な支援を受けられる制度です。原則として65歳以上の人が対象となりますが、特定の病気(初期の認知症、脳血管疾患など)がある場合には、40歳以上でも対象になります。
保険料は40歳から支払いが始まり、将来に備えて蓄えられています。いざというときに「どんな支援を受けられるのか」「どのくらい費用がかかるのか」を事前に知っておくことで、不安や混乱を防げます。
終活においては、「自分が介護を受けることになったらどうしたいか」を具体的に考えることが大切です。家族に意思を伝えることも忘れずに行いましょう。
介護保険を使うための流れと注意点
介護保険は、申請をしないと使うことができません。「必要になったときにすぐ使える」と思っている方も多いですが、実際には申請から認定までに時間がかかります。
まず、市区町村の窓口で介護保険の利用申請を行います。その後、調査員による聞き取り調査が自宅で行われ、さらに主治医からの「意見書」が必要です。これらをもとに、介護認定審査会で「要介護度」が決まります。
要介護度は1〜5の5段階と、支援が必要な「要支援1・2」の2段階があります。この区分によって、利用できるサービスの範囲と量が異なります。
申請から認定までには、通常1カ月前後かかることもあります。将来に備え、余裕を持って準備しておくことが安心につながります。
自宅で介護を受けるためのポイント
「できれば自宅で暮らし続けたい」と希望する高齢者は多くいます。
自宅介護は、住み慣れた環境で安心して過ごせるメリットがある一方で、家族の負担や住宅の設備などに配慮が必要です。
介護保険を利用すれば、以下のようなサービスが自宅で受けられます。
- 訪問介護(ヘルパーによる生活支援)
- 訪問看護(看護師が健康管理を支援)
- デイサービス(通所介護施設での活動)
- ショートステイ(一時的な宿泊介護)
- 福祉用具の貸与や住宅改修の補助
介護を担う家族の負担を軽くするには、ケアマネジャーと密に相談し、外部の力を借りながら無理のない介護体制を整えることが重要。
地域包括支援センターなどの公的機関をうまく活用しましょう。
施設介護の種類と選び方
自宅介護が難しい場合には、施設への入所も選択肢のひとつです。
施設にはいくつか種類があり、それぞれ特徴や費用が異なります。
代表的な施設の種類と特徴は以下の通りです。
- 特別養護老人ホーム(特養):終末期まで入居できる施設。費用が比較的安いが入所待ちが多い。
- 介護老人保健施設(老健):医療とリハビリに重点を置き、在宅復帰を目指す施設。
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):比較的自由度が高く、要介護度の低い方に適している。
施設を選ぶときは、事前に見学し、施設の雰囲気や対応、入居条件をよく確認しましょう。
また、契約内容や追加費用についても細かくチェックすることが大切です。
自宅か施設か、判断するための基準
「自宅で介護を続けるか」「施設に入所するか」は、本人の健康状態や家族の介護力、経済状況などを総合的に見て判断する必要があります。
以下のような基準をもとに検討してみてください。
- 要介護度が軽い → 自宅介護がしやすい
- 医療的なケアが必要 → 施設介護が適切
- 家族が近くに住んでいて協力できる → 自宅介護
- 家族が遠方や高齢 → 施設入所を検討
本人の希望も大切にしながら、ケアマネジャーなど専門家のアドバイスを受けるとスムーズに決断できます。
まとめ:介護保険を正しく使って安心できる終活を
終活では、「もしもの時にどうするか」を考えることがとても大切です。その中でも介護については、備えておくことで不安や混乱を減らすことができます。
介護保険の制度は複雑に思えるかもしれませんが、ポイントをおさえておけば安心です。今のうちから情報を集め、自分らしい最期を迎えるための準備を始めましょう。
自宅介護か施設介護かを考えることは、自分と家族への思いやりの表れでもあります。正しい知識と備えで、誰もが安心できる未来を描いていきましょう。