【介護・施設選び】終活における介護保険の使い方とは?家族に迷惑をかけない準備の方法
老後を迎えるにあたり、「自分の介護で家族に迷惑をかけたくない」と考える方は少なくありません。
そうした思いから、近年は“終活”の中で「介護保険の使い方」を意識する人が増えています。
この記事では、介護保険の基本的なしくみや申請方法、費用の目安、準備のポイントをわかりやすく解説しながら、家族への負担を減らす終活の進め方をご紹介します。
介護保険とは?終活でなぜ重要なのか
介護保険は、加齢や病気によって日常生活に支障が出たとき、介護サービスを受けるための国の制度です。
40歳を過ぎると保険料の支払いが始まり、65歳以上になると、病気やけがで生活に支障が出た際に使えるようになります。
終活の中で介護保険について考えておくと、いざというとき家族が困りません。特に、以下のようなメリットがあります。
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自分の望む介護方法を選べる
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家族が慌てずに手続きを進められる
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必要な費用やサービスが事前にわかる
元気なうちから「自分はどう介護されたいか」「どこで暮らしたいか」を考え、それを伝えておくことで、家族との信頼関係もより深まります。
介護保険の使い方|申請から利用までの流れ
介護保険を利用するためには、「要介護認定」を受ける必要があります。以下はその一連の流れです。
1. 申請
介護保険の申請は、市区町村の介護保険窓口で行います。本人が難しい場合は、家族や地域包括支援センターが代行してくれるケースもあります。
2. 調査
認定のために、市から派遣された調査員が自宅を訪問し、体の状態や日常生活の様子を調べます。この調査には30〜60分ほどかかります。
3. 医師の意見書
本人のかかりつけ医が「主治医意見書」を提出します。これは介護の必要性を医学的に判断するための大切な書類です。
4. 審査と判定
訪問調査と意見書をもとに、自治体の介護認定審査会が「要支援」「要介護」などの区分を決定します。結果は通常、申請から1ヶ月以内に通知されます。
5. ケアプランの作成
要介護認定を受けたら、ケアマネジャーと相談しながらケアプラン(介護計画)を立てます。ここで初めて、実際に介護サービスが使えるようになります。
利用できる介護サービスの種類と選び方
介護保険で利用できるサービスは多岐にわたります。代表的なものは以下の通りです。
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訪問介護(ホームヘルプ):介護士が自宅を訪問し、食事や排せつ、入浴などをサポートします。
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通所介護(デイサービス):日帰りで施設を利用し、リハビリや入浴、レクリエーションを受けられます。
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短期入所(ショートステイ):一時的に施設へ泊まり、家族の介護負担を減らす目的で使います。
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特別養護老人ホーム・介護老人保健施設:中長期的に入所できる施設で、24時間体制の介護を提供します。
サービス選びのポイントは、「本人の生活リズムに合うか」「無理なく通える距離か」「家族の負担が軽減できるか」です。ケアマネジャーが相談に乗ってくれるので、疑問は遠慮せずに聞きましょう。
介護にかかる費用と準備方法
介護保険を使っても、利用者が一部費用を負担する必要があります。自己負担は1割〜3割で、所得によって異なります。
たとえば、要介護1の人が毎月限度額までサービスを使った場合、1割負担ならおよそ1万6,000円〜2万円前後が必要です。要介護度が高くなると、費用も増える傾向にあります。
今からできる費用準備
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月々少額でも介護貯金をする
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民間の介護保険を検討する
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保険証券や年金情報を1箇所にまとめておく
これらを準備しておけば、いざというとき「お金が足りない」「情報が見つからない」という事態を避けられます。
エンディングノートを使って意思を伝える
終活の大切な道具として「エンディングノート」があります。遺言書のような法的効力はありませんが、自分の考えや希望を家族に伝えるにはとても有効です。
書いておくと良い内容
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希望する介護の場所(自宅か施設か)
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緊急時の連絡先
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かかりつけ医の情報
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介護保険証や年金手帳の保管場所
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資産の一覧
手書きでも市販のノートでもかまいません。最近では、自治体が無料で配布している場合もあるため、役所で確認してみるのもおすすめです。
家族との話し合いが負担を減らす第一歩
どれほど準備をしていても、家族にそれを伝えていなければ意味がありません。終活では、家族とのコミュニケーションが何よりも重要です。
話し合う内容としては以下のようなことがあります。
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「どのような介護を希望するか」
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「介護にかかるお金はどうするか」
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「家族の中で誰が中心になるか」
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「施設に入る可能性があるか」
これらを元気なうちからオープンに話しておけば、家族が困ったときも迷わずに行動できます。
まとめ:介護保険を理解し家族に安心を
終活において「介護保険の使い方」を考えることは、自分自身と家族を守る最良の方法です。何も準備していなければ、いざというときに家族が困るだけでなく、本人の希望も叶わなくなってしまうかもしれません。
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介護保険のしくみを正しく理解する
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申請やケアプラン作成の流れを知っておく
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お金の準備やエンディングノートで意思を示す
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家族と話し合いをして共有しておく
これらのポイントを少しずつでも実践していけば、老後の生活はもっと安心できるものになるでしょう。